唐松岳 2019年山初め
2019.01.13-14 唐松岳 (2,696m 長野県・富山県)
『テントですか?』
「せっかくいい天気なので」
とは答えたものの、遠く唐松岳まで来たのだから日帰りで帰るのはもったいない、という以外に、雪山で星空を見るチャンスと言うのが本音である。
冬の澄んだ空気の中で見る星空は格別だ。それが標高2000メートル以上の場所で見るのだから、それはもう麻薬でしかない。いつからこの麻薬中毒になってしまったのか。思い当たるのが2013年9月に立山雷鳥沢でテントを張ったときだろうか。雷鳥沢は360度山に囲まれていて光害が全くないので、肉眼であれほどハッキリと天の川が見えたのは衝撃的だった。
この日は月齢7.1、23時17分には月が沈む。残念ながら天の川が見える時期では無いが、ひと眠りして夜中に起きれば、星空を眺めるにはかなりの好条件ではある。流星群が近づいていなくても流れ星は見れるし、星座なんかわからなくてもいい。とにかく圧倒的に散りばめられた星達が私を待っていると思うとなかなか眠りにつけないものである。
私の住んでる地域では星がせいぜい20個ほど見えれば、今日は良く見えてるなと思えるくらいなので、山で見る星空は非現実的な世界への入口であり憧れでもある。そんな世界を体験するチャンスは貴重で逃すわけにはいかない。雪山×星空は中毒性の高い麻薬なのである。
と、長々と書き連ねたが、この日は午後から天気が悪くガスに包まれていて、明るくなる前ににようやく部分的に星が出ただけだった(笑)
ま、日の出の頃には晴れて絶景を見れたからいっかー(^^)
以下、山行写真どうぞ!
2018山納め 白毛門
12月の雪山は八ヶ岳の天狗岳か谷川岳に登ることが多いですね。
八ヶ岳はまだ雪不足のイメージ。谷川岳もまだまだ仕上がってないと思います。
でも年内最後のチャンスなのでどこか雪山に登りたいが、予報はどこもイマイチ。
谷川エリアが午後から晴れそうだったので、気持ち遅めに出発して、土合駅に駐車できれば白毛門、出来なければ谷川西黒へ向かうこととします。
最初の急登は雪があれば直登ができますが、10cmほどで下は落ち葉なので滑ります。夏道を辿った方が確実でした。
雪庇も徐々に成長中です。
中腹までの雪質はやや湿雪でトレースもあり歩きやすいです。
この日は気温が高く、上は冬用アンダーにTシャツで登っていました。ジャケットを着たのはだいぶ上でした。
上の方ではパウダーになってきて、トレース以外では深いところで1mくらい積もっていたと思います。山頂直下の鎖場は出ていて岩登りがありました。
結局ストックでアイゼンも付けずに登れてしまいました。
岩場はこんな感じ。
もっと積もれば回り込んで楽に登れた気がします。
予報では午後から回復するはずですが…
白毛門の晴れ率低いなー(笑)
蛭ヶ岳は定番ルートで
2018.12.09 蛭ヶ岳(1,673m 神奈川県)
毎年この時期になると登ってるような気がする蛭ヶ岳。
なぜかと言うと、晩秋〜初冬にかけて寒いだけで雪が無いことによる山欲の低下が原因です。
で、冬の雪山に向けて足慣らしを行うわけですが、この道志側から入る蛭ヶ岳のルートが費用的にも体力的にも丁度いいので、毎年この時期に登るのが恒例になりつつあります。
今回はちょっとした事件がありまして。
後半の階段に差し掛かるあたりで、すれ違いの方と挨拶をかわした際
『つかぬ事をお聞きしますが、落とし物をされて戻ってるわけでは無いですよね?』
「?? これから登ります。」
『実はお金を拾ったんですよ…』
と、封筒に入ったお金を差し出された。
私たちはすぐに、落とし主がさっきすれ違った歩荷の方々だと直感した。
この方々が追い付いて手渡せるとも思えないので、預かって小屋に届けることにしました。
蛭ヶ岳は何度も訪れているが小屋に入るのは初めて。事情を話しお金を届けました。
歩荷の方々が当日中に戻ってくるのかと思っっていたら、次に来るのは数日後だそうで。まあ本人の手に戻ってくれればいいか。一件落着。
しかしこのルート、静かでいいなぁ。
山頂はそれなりに人がいるんだけど、途中で会うのはすれ違いで数組のみ。
足慣らしには最適なのです。
ドカ雪が降ったらまた来ようっと。
谷川主脈は稜線好きには最高
2018.10.07-08 平標山(1,984m 群馬県・新潟県)
流れまくっていた友人との縦走計画、三度目の正直でようやく実行へ!狙うは谷川主脈。平標山の家避難小屋泊の翌日谷川岳までブチ抜きます。初日は土合駅から電車バスで登山口まで向かい、小雨の中を平標山の家まで。夕方から風が強くなったのでテントにしなくて正解でした。
翌朝、暗いうちから身支度をして外に出るとガスというか霧雨で気分も下がり気味でしたが、平標山山頂を目指して登っていると、雲を突き抜け星空が広がります。これはアガる!
山頂から下り始めるとガスの中に突入し、仙ノ倉山頂に着く頃にはガスは抜けても高曇りになっていました。ぉぉぉ、さっきまでの空は何処へ行ったんだ?新潟側の雲海がどんどん満ちてきて稜線から溢れます。遠くから見れば綺麗な滝雲なんでしょうが、近すぎてよくわかりません。日の出の時間も過ぎているのに太陽はどこにあるのかわからないし、この先のルート上のピークも雲海の下だし、進むか待つか。20分ほど待っても状況変わらず、進むことにしました。
状況が変わったのがエビス大黒ノ頭から越路避難小屋へ向かう途中でした。1800m以下の雲が晴れ、先の稜線が現れます。おお!いいねぇ!山頂は雲の中だけど、ウネウネした稜線が見えて喜べるなんて、稜線マニアならでは。眼下の山肌には紅葉が見えます。
ピークは雲の中、下りると景色が広がるというもどかしい状況は結局最後の谷川岳まで続きますが、これでもかという稜線と、草紅葉の黄色と熊笹の緑と眼下に広がる紅葉の赤が織り成す風景は、想像を遥かに超えて私の脳裏に焼き付きました。
谷川岳に近づくにつれて、すれ違うパーティが増えて来ます。向こうからしたら主脈に入って我々が最初の対向者なのでしょう。ほぼ100%「今日は何処からですか?」と声をかけられ少しお話をさせていただきました。皆さんそれぞれ色々なルートで新しい発見もあったり、このルートに対して情熱や憧れが感じ取れました。私もやっと憧れのこのルートを歩く機会が来て楽しめていたのですが、もう少し、あと少しだけ天気が良かったら最高だったかな。
紅葉ハイクで賑わう谷川岳は写真だけ撮ってそそくさと西黒尾根へ。何度か登ったことはあっても下るのは初めてです。谷川岳まで9時間ほど歩いて足が終わりかけてからの日本三大急登を下る。ドMですね。西黒尾根を下りてこそ、この主脈縦走は完成すると思っていたので自然な流れでしたが、流石にこたえました。
友人とは初めての山行でした。5〜6年前に長野に移住して、農業のほか色々な活動の傍らトレランもやっていて、私の倍のペースで歩けます。筋肉の使い方を教わり試してみましたが、雑誌やネットで得られる「歩き方」とは真逆な感じで、理屈は理解できても慣れるのは中々難しい。体得できれば登山スタイルが激変しそうではありますが、今回はお預け。殆ど私のペースに合わせてもらいました(笑)
双六の大地へ
2018.09.22-23 双六岳(2,860m 長野県・岐阜県)
週末好天を掴めずにいたらいつの間にか季節が変わっていた。
「明るくなってきた!」「雨止んだ!」何度叫んだか。そんな期待を持ってなきゃ標高は上がっても気分は上がらない。
駐車場の空き具合から、登山道もテント場もそれほど混雑はないと予想していたが、各休憩ポイントにはそれなりに人はいた。
「今日はどちらまで?」
「三俣目指してたんですけど、雨でバテ気味なので双六でいいかなって」
こんな会話が何度か聞こえていた。
稜線に上がると雨も上がりガスも取れ始めている。予報は当たりだ。
予想通り、テント場は選び放題だった。双六のテント場は初めてだ。キャパは相当あるが基本的に斜めっている。小屋に近い砂利の無い区画にテントを張った。
僕は双六を目指していた。というより「双六の大地越しの槍」を目指していた。過去に一度だけ通った双六の大地はガスに包まれて、それは切ない景色だったから。夕刻の時を見計らっていよいよ双六の大地へと上がる。ここで撮りたい写真があり、その為だけに望遠レンズも持ってきたのだが、思っていた写真は撮れなかった。
双六の大地は陰り、僕も下山を始めるころ、正面に見える槍ヶ岳がオレンジ色に染まり、白い月が昇っていた。
天気は良いが風が強めの朝だった。この日は降りるだけ。笠ヶ岳への稜線はまたいつか。登りは雨だったので、見れなかった景色を楽しんでいこう。登りでは数回渡渉したが、それがどこだったかわからないくらいに普通の登山道に戻っていた。
マイナスイオンたっぷりの空気と、ひと月ぶりの山歩きに心が満たされた。わさび平小屋でリンゴをかじったのもその表れだったのだろう。
写真をGoogleフォトから貼り付けられるのを初めて知りました(^^)
飯豊を縦走してきました
2018.08.12-13 飯豊山(2,105m 山形県・新潟県・福島県)
他
天気がイマイチなので予定していた北アルプスから変更し、天気が良さそうな飯豊連峰へ。2泊の予定でしたが天気の関係で1泊で、飯豊山荘からダイグラ尾根を登り、梶川尾根で下りる周回ルートです。車で行くには便利な周回ルートですが上りも下りも標高差がありますのでルート選びは慎重に。
お盆休み直前に変更したこともあり、初日は移動日。下道で飯豊山荘へ向かいます。夕方に到着したのでお風呂でマッタリ、明日に備えます。
暗いうちから林道を歩き、ダイグラ尾根の始まりの吊橋を渡ると、いきなりの急登でグイグイ標高を上げていきます。この日、5人の方に抜かれましたが、その内2人は日帰りで周回するとのこと。ビックリです。
北側が開けたところまで出ると雲海の向こうは朝日連峰でしょうか。初めてのエリアなので山座同定もままなりません。
あの気持ち良さそうな稜線が飯豊の主稜線。まだまだ先ですが、ドリンクの消費がハンパないです。
ダイグラ尾根ルートは破線ルートですが、ただ長くてキツイだけではなく、草刈以外の登山道整備があまりされていない印象です。こういった短いトラバースの箇所が多数ありました。アルプスならロープや鎖が設置されていそうなところでも一切ありません。
ここまで来れば既に歩く楽しさしかありません。最後の厳しい登り!
うわぁ。
壮大な景色が広がってきました。早く歩きたい!
山頂はすぐそこ。
約8時間かかってダイグラ尾根を登り切りました。先週に続き標高差1,700m、獲得標高2,100m。がんばりました。
山頂から本山小屋を見ると、あちらのほうが高い疑惑。
登ってきたダイグラ尾根。歩き応えがありました。
御西方面のスカイロード。奥は飯豊連峰最高峰の大日岳。
御西小屋が見えてきました。ここでテント張ります。
が、
なんとサイフを車の中に置き忘れて来てしまいました。管理人さんに事情を説明し、代金は後払いということで、ビールは1本だけいただけました。ありがとうございました。
問題はビールをいつ飲むのか。今でしょ←
水場は少し下ったところ。ちょろちょろでしたが冷たくて美味しい水でした。
ロケーションは文句ないですね。日本海も見えます。小屋もテントも意外に空いてました。
2日目。
天気が下り坂ということでこれまた予定変更して下山します。CT11:20の長丁場ですが、全体的にCTは緩いです。普段から歩いてる人なら×0.6~×0.8で歩けるでしょう。
もうね、見えるもの全部稜線。稜線好きには堪らないシチュエーション。
途中の烏帽子岳。このお盆は北アの烏帽子岳に行く予定でした。なにげに2018m、今年2018年の山でした。
梅花皮小屋と北股岳。
この日、やや風が吹いていたのですが、この小屋のテント場はかなり風の影響を受けそうでした。何張りかありましたが、かなり風を受けていました。
北股岳はややアルプスっぽい山容で、飯豊連峰の中でもちょっと違う雰囲気でした。
北股岳から門内岳の稜線はいい稜線でした。ただの個人的な好みですが笑
門内小屋テント場もこじんまりと10張分ほど。水場も近いようですね。本来なら早朝に大日岳をピストンし、ここで2泊目の予定でした。いつの日か、のんびりと歩ける日が来ますように。
梶川尾根へ入り、いよいよ稜線とはお別れです。快晴とはいきませんでしたが、遠く鳥海山まで見えていたので、初めての飯豊にしては出来過ぎでしたね。
下山の尾根もいい稜線・・・と思っていたのは見えているところまでで、この後ハイパー激下りタイムに突入します。岩あり根ありのザイテングラートが標高差1,200m、時間にして3時間以上続くと思ってください。下りなのに上りと同じくらい水分を消費しました。
かくして下山完了時にはTシャツが絞れるほどでしたが、下りるとすぐ駐車場すぐお風呂なのは嬉しいですね。飯豊山荘のお風呂はいいお湯なんですが、シャワーが1つしかないので要注意です。かち合うと大変なことになるのでお気をつけください。
行きは下道12時間、1日目行動9時間、2日目行動8時間のあと下道8時間。初めての飯豊にアドレナリンが出まくってて、あっという間の3日間でした。去年のお盆休みも計画が流れた飯豊、今回1泊でも行けてよかったです。大日岳に行けなかったので再訪はするでしょうが、稜線まではどこでもドアが必要です。
穂高の吊尾根を行くべし
2018.08.04-05 前穂高岳(3,090m 長野県)
はらですぎさんと同じような時間に同じようなルートで同じような写真を撮ってきましたので同じような写真を載せます。
穂高周辺のメジャールートで未踏はこの岳沢〜重太郎新道〜吊尾根だけ。(白出沢はメジャーではない)
上高地から一気に奥穂までテントを担いで行くのは初めてなので、期待と不安が入り混じっております。
岳沢小屋はまさに穂高の懐って感じのところに建ってる。ここまで緩いかと思いきや2時間で600m上がったので普通の登山でした。
岳沢小屋を過ぎると斜度が一気に上がり、四つん這いで登ることが多くなってくる。そのおかげで標高はグイグイ上がります。
紀美子平に到着。かの重太郎はここで紀美子を遊ばせておいて前穂に登ったらしい。「こんなとこで危ねーよ(笑)」という記事のブログを読んだ。想像してたよりは全然広かった。韓国人だらけだったけど。
結構下から見えてた山頂。槍さんともご対面です。CT片道30分て少し厳しめだと思う。
前穂から下りたらいよいよ奥穂に続く吊尾根へ。特に危険には感じなかったけど、地味に辛い。真ん中過ぎまで紀美子平と標高変わらないし、前穂より100m高い所まで登らなきゃならないのに、前穂がなかなか眼下に入らず、遥かに上に見えてメンタルやられます。
楽しくもキツイ岩陵帯ももう少し。ウイニングロードは駆け上がれそうな雰囲気でした。
山頂から山荘へ向かう道すがら、登山道の真ん中で雷鳥タンが砂浴びをしていてしばし通行止め〜(^^)
テント場も確保でき一眠りした後、ガスってた空が赤くなって来たので外に出てみると夕陽が。と思いきやこの後すぐガスりました。
日の入から22時までが天の川チャンスと思っていたので、メシを食いながら空を見上げてると、徐々に晴れてきた。20時過ぎくらいだったかな。隣のテントの方はおやすみモードだったのにガサガサしてすいませんでした。
翌朝はガスでも奥穂に登って行く方々は多かった。涸沢方面へ下りる人はあまりいなかったので気が引けたが、あの天気じゃあねぇ。
と思ってたらすんげー晴れた(笑)
山頂御来光は見れたかな?
涸沢と徳沢以外ノンストップで意外に早く帰れました。
久しぶりに岩稜帯を歩きました。
楽しいですが1年に1回でいいですね。
吊尾根というと前穂から少し下って、なだらかに進んで、奥穂に向けて一気に上るというイメージでしたが、実際は細かいアップダウンが結構ありハードなルートでした。