Now On Summit

主に登山の記憶

これぞ上越 タカマタギ・日白山

2017.04.01-02 棒立山 (1,420m 新潟県

        タカマタギ (1,529m 新潟県

        日白山 (1,631m 新潟県

 

 

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衝撃の出会いから約2年。

初めてこのルートの写真を見たとき、素晴らしい雪庇の稜線に一撃でハートを射抜かれた。夏は藪がひどいらしくて、雪で覆われたシーズンしか登れない山というのも心をくすぐった。

昨シーズンは雪が少なめだったのでパスして、今シーズンは雪が多そうなのでチャンスを伺っていたら4月になってしまった。できれば3月中に行きたかったが、ようやくそのルートを歩く時がきた。ワクワクが止まらない。

 

谷川岳と同じエリアとはいえ、群馬側と新潟側とでは天気が分かれそうな土曜日。晴れたらラッキーなくらいで行って、日曜日に期待だ。

 

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林道をしばらく歩いて、棒立山の尾根に向かう斜面へ取り付く。アイゼンを付けていると後ろからソロの方が追い付いてきたが、その場を入れ替わるようにスタートした。

のっけからかなりの急登である。シェルジャケットは着ていないが、シェルパンツを履いていることを後悔した。途中、鉄塔の下で、初めてサイドをフルオープンにしてシェルパンツを脱ぐ、というか外す。この間に先程追い付いてきたソロの方に先を譲る。その方はスノーシューだった。

 

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森の中を登っていくと雪庇にぶつかる。このまま左へ登って行くには雪庇を超えなければならないようだ。手前でトレースが錯綜している。右から回り込めば何の事はないのだが、とりあえず雪庇超えを試みるものの危ないので大人しく回り込んだ。

 

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どう見ても上の方は雲の中。雲との境目に見え隠れする霧氷が綺麗だ。

 

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前日以前のトレースが見当たらないため、スノーシューのトレースを辿るが、軽くない体重+雪山フル装備の重さに耐えられず、少しでも楽になればとワカンも履いた。

 

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スノーシューのトレースは霧氷の森の中を通っていたが、気温が上がってきてパラパラと氷が降ってくるのが鬱陶しくて、雪庇寄りのルートを取ることにした。45度くらいあるノートレースの斜面を3〜4回蹴り込んで確実な足場を作り、一歩一歩進む。先が見えず、気がつくと雪庇の端が2mくらい横に近づいていて、逃げるように斜め歩きしたり。

 

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ようやく一つ目のピーク、棒立山に到着する。元々登山道もない藪山なので、山頂を示す標識があるわけでもなく、ただの雪の更地であった。辺りは真っ白で何も見えないが、腹は減っているのでカップラーメンを食べて次なるピーク、タカマタギを目指す。と意気込んで10m歩いたら穴に落ちた。

 

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立山から一旦下った辺りで、先行のスノーシューの方が戻ってきた。日白山から東谷山を経て二居へ抜けたかったが、タカマタギの時点でホワイトアウトだったのでやめたとのこと。なるほど、最終目的地は日白山なのでタカマタギは超えておきたい。情報とトレースのお礼を言って別れた。

 

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晴れていればこれ以上ない程の雪庇尾根歩きを堪能しているはずなのに、右手の樹林帯から離れないように先の見えない上りを登っていると程なくタカマタギの山頂に着いた。思っていたより全然近かった。

 (注)真ん中の棒は山頂の山標ではなくただの枝です。

 

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ここからは冒頭のようなアングルで「山と雪庇とテントと星」の写真が撮れそうな場所を探しながら歩く。まぁ景色は見えていないので想像で。

 

雪中テント設営には必須事項である防風壁を作るのに新アイテム、スノーソー(ただの枝打ち用のこぎりだが)が大活躍した。この時期の雪は切るだけでブロックができて切り出しやすい。しかもサクサク切るのが面白くて、無駄に積み上げた。ペグもそれほど深く埋めなくてもガッチリ効くのでパウダースノーより簡単に設営できる。雪中テント泊に限ったことではないが、雪山は残雪期から始めたほうがいい。

 

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夕方、翌日を楽にするためにトレースを付けに日白山方面へ向かってみた。ほんの100mも歩いたところに広い雪原が広がっていて、テントはここのほうが良かったかもと思う辺りが優柔不断な性格。

相変わらず真っ白で先は見えない中、日白山の手前のピークへの上り斜面が物凄く急に見えたので引き返した。小動物の交差点を理由に。

翌朝に後悔することになるのは容易に想像できる。

 

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月の無い夜中2時頃に天の川が上ってくるので写真を撮りまくるぞーと18時くらいに就寝。ちょいちょい目が開くのはテントを叩くパラパラ音のせい。これは雨なのか雪なのか。内側からテントを叩くとサーッと滑り落ちる音がしたので雪のようだ。結局一晩中こんな感じで小雪が降っていて、とても星空どころではなかった。

 

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こうなったら日の出を日白山山頂で、という目的に切り替えた。冷たくなったあんぱんを炙って食べるが、中のあんは冷たいままだった。とかやってるうちに薄っすら明るくなってきて「これはキタかも!」と山頂へ急ぐ。

 

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夜の降雪で多少埋まってしまったが、やはり昨日もっとトレースを付けておくべきだった。トレースがあるのとないのじゃ歩きやすさがかなり違う。

日の出から30分ほど遅刻して日白山の山頂に到着したが、棒立山やタカマタギと同じくガスに包まれていた。いつものようにスマホをリモコンにしてカメラで自撮りをしても、なぜかスマホとカメラのwifiが切れてしまってイライラしてると西側が明るくなっていた。周りはガスっているのに苗場山だけがクッキリ見えているではないか。近い。

この山行で初めて見えた景色らしい景色だった。wifiが切れるとか、俺、小せぇ。

 

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それからは歩いてきたタカマタギからの稜線、平標山や千ノ倉山が一気に見えてきた。斜面が朝日を浴びて輝いている。星空を撮れなかった鬱憤を晴らすかのように写真を撮りまくった。

 

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テントのロケーションは少しイメージとは違ったな。

 

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谷川岳までの全部の雲が取れたのは棒立山から下った辺りだった。もっとのんびりできれば谷川エリアの全貌の絶景も見れたはずだが、この日はいつも以上に早く帰らなければならなかったので次回にお預けである。

 

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結局会った人は、1日目のスノーシューの方と2日目棒立山より下で年配ご夫婦と10人くらいのパーティだけ。稜線は独り占めでした。

あ、シカがいたわ。

 

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