GWは涸沢・北穂高岳へ
2017.05.03-05 北穂高岳 (3,106 m 長野県・岐阜県)
涸沢を目指すときは2泊の日程は欲しいので、少なくとも3連休じゃないと行かない。
そうなるとどうしても混雑は避けられないので、涸沢に行くのはあまり好きではない。
テントさえ張ってしまえば天国なんだけど。
上高地から横尾までの3時間の平地歩きが嫌い。
抜いたり抜かれたり、あの殺伐とした雰囲気が嫌い。
せめて半分、いやあと1時間少なければな。
嫌いな平地も終わり、横尾から橋を渡るとルートは雪に変わる。
初めて向かう雪の涸沢に向けて、この辺りから気分はネガティブからポジティブに。
最後に涸沢に行ったのは2013年10月。
そのときは沢渡でコケて、カメラのレンズフィルターを割ってしまい涸沢までモチベーションが保てず、横尾にテントを張って、翌早朝に涸沢入りというスケジュールになった。おかげで穂高は登らず、パノラマルートの屏風の耳から穂高を眺めることが出来たので、それはそれで良し。
なので夏道もどんなルートだったかは覚えていない。横尾から涸沢はそれなりにキツイということだけ。でも積雪期は傾斜はキツイが歩きやすいので、思ったより早く涸沢に到着した。
やはりテントを張ってしまえば涸沢は天国で、涸沢ヒュッテで呑み、涸沢小屋でも呑む。移動は面倒だがこれは儀式だ(笑)
夕方は曇ってしまっていたが、夜中は晴れていた。またゴソゴソと起きて一人星空鑑賞会。天の川のある南の空は薄い雲が広がって、天の川はくっきり見えなかった。
何より35mm換算で24mmのレンズでは涸沢の空を撮るのには狭すぎた。
南向いたり、西向いたり、北を向いたときにたまたま流れ星が撮れた。空を見ていなかったのでホントに流れ星なのかは不明。
少し焼けたモルゲンロートを見てから準備をする。もう奥穂や北穂に登り始めてる人が見える。
これから登る北穂沢はどう見ても壁なんだが、あんな所を登れるのか。それでも涸沢から北穂へ登るのは初めてなので、不安よりは期待でいっぱい。
デブリです。雪崩の跡です。数日前に雪が降って、その後気温が高めなので雪崩れたようだ。一度雪崩れてるし、もうこのルートでは雪崩は起きないだろうと、このときは思っていた。
すぐに涸沢のテント村が豆粒になった。壁のように見えていたルートはやはり斜面だ。かなり急な斜面。ペースはゆっくりだが標高はグイグイ上がる。
前にも後ろにも人が連なっている。ピッケルを突き刺さなきゃいけないほどでもないが、足元は一歩一歩確実に。滑落したら誰かを巻き込んでしまうかもしれない。
東稜からアタックしているパーティも結構いた。人が立っている小ピークから左は、笑っちゃうくらいのナイフリッジになっている。時間と共に雪質が柔らかくなってくると怖いだろうな。
そして山頂へ。夏は平らで広い山頂のはずだが、10人も居ればいっぱいになるくらいの広さしかなかった。たぶん雪のせいで標高はプラス3~4m、山頂標は雪に刺さってるだけ。
妻は穂高連峰の山頂に立つのは初めて。初めての雪の涸沢、初めての涸沢から北穂、妻の初めての穂高登頂、初めてづくしで顔もほころぶ。
北穂高小屋テラスへの階段もちょっとした雪の回廊になっていた。微妙に怖い(笑)
ここはホットコーヒーが美味しいので注文するつもりだったが、とにかく暑くて水分不足だったのでコーラをプシュッ。最高。このロケーションも最高すぎ。
ズブズブの雪を下りヘロヘロになりながら涸沢小屋に戻って祝杯を挙げつつ、もう一泊涸沢にいるか、徳沢まで下りるかを話し合った結果、予定通り徳沢まで下りることにした。
下る僕等と入れ替わりに登ってくる方々も多い。天気もいいので楽しんでください。
徳沢もテントは賑わっていたので隙間にテントを張った。意図せずTwitterのフォロワーさんに何人か会ったのでびっくりした。芝生の上にテントを張れるので快適に過ごせる。徳沢も天国です。
3日目もいい天気に恵まれた。前回の燕岳といい今回といい、こんなに当たりでいいんだろうか。この先の夏山シーズンの天気が少し怖い気がするが大満足の山行となった。
[雪崩]
北穂から下る途中、奥穂の吊尾根寄りの岩肌から雪崩が何度か起きているのが見えた。自分たちの上からもソフトボールほどの大きさの雪が誰も居ない斜面から転がってきたり、東稜ルートのほうでも掛け声が聞こえていた。だいぶ下った辺りで奥穂の方から複数の掛け声が聞こえたので見ると、登山者が登っている「あずき沢」(ザイテングラートの左側)に雪崩が流入し、数人の登山者が流されるのが見えた。幸い大事には至ってないと聞いたが、雪崩の現実を見て春山のリスクを思い知らされた。午後には自分達が登った北穂沢も雪崩たらしい。雪が緩む前に下山するように心掛けたい。